悪魔さん

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悪魔さん

悪魔は退屈していた。 理由もなく何年も何年も生き続けて、いい加減暇を潰すものすら無くなってきていた。 「では人間界に行くのはいかがでしょうか。」 知り合いのそんな一言を聞いて、悪魔はしばらく悩んだ。 悪魔は幾度となく人間に会ったことがある。 契約をして、代価を貰う代わりに願いを叶えるのだ。 しかし人間は醜かった。 ある者は私利私欲で他人の幸せを壊し、 ある者は代価として他人の命を売り払った。 そんな奴等に埋め尽くされた世界など、悪魔にとっては想像したくもないほどに醜悪だった。 「それならば美しい人間を探しに行く、という名目で行けばいいではないですか。」 …そんな人間は、いるのだろうか。 そうは思ったものの、この世界で暇を潰すことに限界が来ているのも確かだと考えた悪魔は、結局一人、人間界に降り立った。
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