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食傷、またも春
命をいただく
「いただきます」「ごちそうさま」
命の限りある循環
もう飽き飽き
命を食む
噛み締める甘美 冬の陽のように刹那
命
永く続く苦痛
いつかくる 終わり
今日も食む
明日も食む
いつかきっとくる終わりは
たぶん、まだ遠い
誰かが願った 「もう終わりにしたいな……」
安心して、まだ終わらない
まだまだまだまだ まだまだまだまだ……
でもきっと、気がついた時にはもうすぐそこに
はなから泥舟
賞賛もなく
ただ生きるのだ
いつか終わるために
一艘の漕ぎ出したボート
振り返る食糧泥棒
泥舟に残してきた家族
さもしい背中 命を食む
生きているという、至上の甘美
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