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会社の仕事。 それは時に人を殺すこともある。 周囲はそう思っていないが、本人が許容できないこともある。 そうゆうときはカウンセラーやメンターが必要か。 しかし暗い寝室の主はそうでなかった。 抱え込んだことが大きすぎたのかお化けを見たようだ。 主の名は 塚野 慶次 という。 勤続10年、上場企業に勤める32歳の課長クラス。 独身で実家の自室にすむ青年だ。貯金は貯まるが、責任も増えて、携わるプロジェクトの成否で下手をすると訴えられるくらいに追い詰められている。 いや追い詰めている上司がいるといったほうが正しいか。 慶次 ”お化けを見るなんて。まずいな。精神科を探さないと。” お化けのおかげか、病院に行くという選択肢を得た慶次は、昨日の夜のことを思い出す。 慶次はお化けに2回会った。1回目は能面のようなどくろのようなお化け。 そして2回目は真っ白い、不気味だけど不快でない女の子のお化け。 こんなことを言っても真に受けてもらえないだろうな。 しかしこのままでは仕事も進まない。 上司の顔が浮かぶ。 バックレてやるという選択肢が浮かぶ。 せめてプロジェクトで事件が起きても良いように、俺は病んでいるという証拠を得たい。病院に行ったという爪痕を残しておけば、役に立つだろう。 慶次は土日、休日に、奇跡的に外来に応じていた郊外の精神科を持つ病院に駆け込んだ。
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