午前3時にこの小説を読まないでください

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 数日前、私はある小説投稿サイトに会員登録した。  年齢や経験を問わず、誰でも自由に小説を公開・閲覧できるそのサイトには、会員達から毎日様々な物語が投稿されていた。  中には、プロの作家さんなんじゃないだろうか?と思うような実力派の作品もあり、実際、人気の作品が書籍化されることもあるらしい。  もともとネット小説が好きで、暇さえあればブログ小説を読み漁っていた私は、すっかりそのサイトに夢中になっていた。  読み専ながらサイトの使い方に慣れてきた頃、公式が主催するコンテストの存在を知った。  お題やテーマは毎回決まっているが、『魔法が出てくる小説』や『動物が登場する小説』など、盛り込んで欲しい要素が決められているだけで、物語の大筋は書き手が自由に設定できるようだ。  試しに結果発表されているコンテストをタップすると、栄えある最優秀に輝いた作品から惜しくも入選を逃したものまで、沢山の小説が並んでいた。同じお題でも恋愛小説やミステリ仕立てになっているものもあり、タイトルだけでも作者の個性が見えて面白い。  ページを戻って開催期間中のお題に目を通していると、その中でもひときわ短いお題が目についた。『3時』とだけ書かれたそのお題の左横には「3行から参加できる超・妄想コンテスト」の文字。どうやら、定期的に開催されている短いお題のコンテストらしい。  なるほど。『3時』にまつわる話なら、3時のおやつでも、真夜中3時の待ち合わせでも、シュチュエーションに縛りはないのか。他のお題より更に自由度が高くて面白そうだ。 お題に興味を惹かれた私は、このコンテストに応募中の作品を読んでみることにした。  コンテストの締め切りが迫っているためか、すでに300件以上の作品が投稿されていた。思った通り、ファンタジーから日常まで幅広い作品が展開され、十人十色の『3時』の物語が繰りひろげられている。  さあ、どこから読んでいこうかとワクワクしつつ画面をスクロールしていた私だったが、ふと、ある作品が目についた。
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