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目がさめると、私はスマホを片手に持ったまま床に転がっていた。
何でこんなところで寝ていたんだ……?と一瞬困惑したが、すぐに昨夜の記憶が蘇った。
「…………ッ!あの小説は!?」
私は慌ててスマホのロック画面を解除した。
しかし、小説を開いたままだったはずなのに、ホーム画面に戻っている。何かの拍子に閉じてしまったのかとインターネットを開いたが、そもそも何のページも開いていないことになっていた。
そんなはずはないと履歴を探すが、それらしい閲覧履歴は見つからない。仕方なく、件の小説投稿サイトを開き、昨日と同じようにコンテストに応募中の作品一覧を検索した。
しかし、無いのだ。
ハッシュタグを変更しても、別のジャンルで検索をかけても、オールジャンルを片っ端から調べてみても、あの小説が見つからないのだ。
思いつく限りの検索の手立てを試し切ってしまった私は今、最後の手段としてこの小説を書いている。あの作品と同じタイトル、同じあらすじを載せて。
もしも、私の他にあの作品を読んだ方がいるなら、この小説をパクリだと通報する前に、どうか私に知らせて欲しい。午前3時以外の時間に読んだとか、タイトルを見かけただけでも良い。
あの夜以来、真夜中の足音が、隣人の笑い声が、意味のない文字化けが、怖くて怖くてたまらないのだ。
もう一度あの作品を読んで、あれは悪い夢であって、怖いことなんて何もないと自分を納得させたいのだ。
本当に、どんな些細な情報でも良い。どうかどうか、知らせて欲しい。
そして、もしあの作品見つけたら、くれぐれも午前3時には読まないように……。
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