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ヤミー少女、雇われる。
こんにちは、黒澤 凛と申します。
病んでます。
自己紹介で病んでますというと引かれることは目に見えてはいるのですが、念のためもう一度。
病んでます。
でもいわゆる自傷行為ということは痛いのが嫌いで出来ません。
どうぞカスだと言ってしまってください。
私なんて生きてる価値もないような……あっ、本題に入っていませんでしたね。すぐに本題に入ることもないゴミですみません。
どこから話すべきでしょうか……?
今日はいつも通り高校に行って、いつも通り作り笑顔を振り撒いて部活もやって、そんな帰り道でした。
「ねぇ、僕と契約してヤミー少女になる気はない?」
真っ白な体。
愛くるしい2頭身。
小さなサイズ感。
首に巻き付いた縄。
口から垂れる血。
……??????
なにこれ。
「はじめまして!
僕はヤミー少女の勧誘係兼使い魔のヤミーンだよ!」
「……幻覚か。
精神の疲れかな……?」
「よくぞ訊いてくれたね!」
いえ、何も訊いてはいませんが。
「実は邪悪な組織がこの世界に侵略してこようとしてきてるんだ!
僕たち『地球防衛担当妖精』も止めようと抵抗しているんだけど、限界がきちゃって…。」
妖精だったんですか。
「はじめ、僕たちは彼らの『病み』の力から来る『闇』の力に対抗できる『光』の持ち主を探してたんだけど……こんな廃れた社会にそんなのいるわけないだろクソが……」
妖精が『廃れた社会』とか言っていいんですか。
っていうか口悪。
「そこで目には目を!病みには病みを!
そんな発想からこれ以上ないほど病んでる人を探してたんだけど……。
君は……あれだね。
現代社会の闇だね。うん。
見えるよー?
どっすグロい……じゃなくて、どっす黒い病み……もとい、闇の素質が見えるよー?」
何回か違う意味になってたような……?
まぁ病んでいるのは自覚あるから否定できませんが。
「と、いうことで!契約、しよっか?」
「えっ、私なんかにそんなの……」
「あ゛?
……何か、言ったかな?」
「カスが口答えしましたすみません喜んで契約させていただきます。」
目が笑ってない怖い怖い怖い完全にヤのつく職業の人……!!!
「わぁ!ありがとーっ!!
君みたいな素直な子がヤミー少女になるなんて、僕は幸せ者だなぁ……!
じゃ、この契約書に拇印、押してね?」
「ハイ仰せのままに……!!」
有無を言わせない圧に私は即座に契約書と共に差し出された朱肉で拇印を押した。
そう、契約内容もろくに確認せずに。
「はぁいありがとう!
じゃあこれから24時間365日休み無し給料無しで頑張ってね!」
……へ?
雇用主はとんだブラックでした。
死にたい。
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