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「じゃあそのまま練習として君の家まで行ってみようか!」
「わ、分かりました。」
……ん?私の家まで?
空を飛ぶといってもこれ実際空を歩いてますよね?
つまり直線距離を歩くのと変わらない……。
……そうすると、一時間半以上はかかりますよね……。
「あのー、空を飛ぶ(歩き)だと相当な時間かかるのでは……?」
やれと言われたからにはやらされるんだろうなぁとは思いつつ、一縷の望みに賭けそう訊いてみる。
と、盛大なため息が返ってきました。
ですよね、カスが生意気言いましたすみません。
「はぁ……。君ね、病みの力が根源とは言え一応それ魔法なんだよ?
魔法に重要なのはイメージ。
今は君が空を『歩いて』飛ぶイメージをしているから歩きなだけってこと。
そうだな……。速く飛びたいなら某人気少年漫画の主人公でもイメージしたらいいんじゃない?
あのボール何個か集めるやつ。」
「な、なるほど。」
呆れられはしたけど口調が怖くないからまだ怒ってはいませんね…!よかった…。
しかしここでゴミ虫がナメクジのようにノロノロしていてはキレられるのは火を見るより明らかなので、某人気少年漫画の彼を、空を速く飛べるように…と急いでイメージする。
でも、何故か中々あんな風にはならない。
「オイ、そのステッキは飾りか?どの魔法もそうだが、特に難しいイメージの時はステッキに意識を集中させながらやってみろ。」
「ははははははい!ありがとうございます!」
的確なアドバイスは本当にありがたいんですけど、口調が変わってきていることへの恐怖がもの凄いです……。
そそ、それはともかく、とステッキに意識を集中させながらイメージして……。
…よし、出来る。私にもあれが出来る。絶対に出来るから。大丈夫。
そう自分に暗示をかけるように頭の中で反芻する。……いける!
何となくそんな気がして、先ほどのようにイメージしながら、今度は空に歩くのではなく、一歩思い切り踏み込んで、空へと跳ぶ。
その勢いにのって、私はイメージ通りに空を飛ぶことが出来ました……!
「どっ、どうでしょうか……?」
飛びながら、同じく隣で飛んでいるヤミーンさんに訊いてみる。
が、『こんなことで喜んでたら先が心配だ』とか言われそうだな、と少しだけ後悔した。……んですけど……。
「……飲み込みの早さについては、流石は俺が見込んだヤミー少女だ、とだけ言っておく。」
……へ?……ヤミーンさんの、素の口調で誉められた……?
そのことを頭で理解すると、達成感や嬉しさや照れがごちゃ混ぜになって、無意識に顔が真っ赤に染まる。
「……あれっ、もしかして照れてるのー?まったく単純だなぁ☆」
その言葉に今度は恥ずかしさが足されて、顔が更に熱くなるのを感じながら、ヤミーンさんに「照れてません」とだけ返しました。
……なんか、悔しいというか、してやられた感が否めません……!!
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