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 翔は、徐々にミナコの言葉を重く感じるようになった。  気楽な気持ちで作品を書いてアップし、読んでいる読者も――多いかというと少ない方だが――ゼロではないので、まあいいかと思っていた。  作家になりたいわけでもない。コンテストで上位を狙いたいわけでもない。ただ、日課のように毎週アップしているだけ。  そんな気ままな作家未満の自分にアドバイスをしたがっている読者が、リアルの姿で目の前に現れた。  最初は、彼女とは読書好きという共通点で意気投合したが、作者とわかると目の色が変わった。その時から、なんとなく感じていた不安が、彼の心の中で膨れ上がってきた。  ――この人の期待を裏切ったらどうしよう、と。  読者が駄目出しをする。口ぶりから、よかれと思っての行動のようだが、膨れ上がった不安がそうは思わせない。それで言葉が心に突き刺さる。重く感じる。それを表情には出せず、ニコッと微笑む仮面で切り抜ける。  彼は、申し訳なさそうな顔をして語り始めた。 「あのさぁ」 「何?」
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