深夜3時のティータイム

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「レイコは過去の男にすがるほど弱くないもんね。でも強くもない」 ユキトは、くっきりとクマの刻まれた私の目元に、指の背を当てるような仕草をする。 「レイコは、顔も性格もキッツイから、声掛けづらいんだよ。ツライ時はツライって、手伝って欲しいって言ってくれないと周りは動けない」 「……」 「言えば、頑張ってる君を見ている人達は絶対助けてくれる。だから……」 ユキトはあのポケットに手を入れた。だけどそこからは何も出さず、今にも涙を零しそうなほど目を潤ませながら、満面の笑顔で言った。 「だから、幸せになって」 そしてユキトは、キツネ男と一緒に、カランカランと鈴を鳴らして店を去った。 私は、まだ桃源茶が残っていたが、カウンターで会計をする。 「八百円です」という言葉に「ありがとう」と返した。 帰る気にはなれなくて会社に向かうも、働く気にももちろんなれずデスクに頭を乗せる。 目を瞑れば先ほどのユキトの表情が浮かび、会話が反芻され、今までの思い出がブワッと蘇ってきて、私は声を上げて泣いた。 窓から日差しが入ってくるまで、ずっと泣き続けた。
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