深夜3時のティータイム

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思いっきり泣いたらスッキリした。 顔を洗って、改めて今日の仕事を見つめ、一人じゃ無理だと判断する。 上司が出社してきて席に落ち着いてから、私は告げた。 「あの、今の仕事、私一人じゃできません」 部署内が一瞬沈黙した。出社していた同僚も私に注目している。 上司の答えは予想外だった。 「そうだよね!だって二人分だもんね!いやー、急で引継ぎできなかったと思ったら、君が全部一人でやる感じで進めてるし、なんかできてる感じだったし、できるのかな?って俺も思っちゃったんだけどさ」 それから上司は仕事を同僚達に割り当てていく。 同僚達も特に文句無く受け取っていく。 結局は私が一番頭が固かったようだ。 男は信じられないとか、産休に入った女性の仕事は女性がやるとか思っていたのも私だけだった。 最近のペースで自分の仕事を片付けたら定時よりも前に仕事が片付く。 同僚に手伝おうかと声を掛けたら、終わったなら早く帰れと背中を押された。 久しぶりに浴びた夕暮れの明かりは桃源茶と同じ色をしていて、あの甘い香りを感じた気がした。 (了)
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