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「飲み物だけになるけど、いい?」
雑な問いかけに私が頷けば、カウンターの一番左端の席に案内された。
ぱっと見冴えない印象の店員は、よく見ると肌が綺麗で私より若そうだ。
二つ折りのメニュー表を開く。
「じゅっ、十万!?」
左上段に書かれた数字に思わず声を上げる。
そこには「桃源茶 濃」「十万円もしくは一ヶ月」と書かれている。
十万のお茶って何だ?
十万円と一ヶ月って「もしくは」で繋げられるものなの?
そもそも、一ヶ月ってどういう事?
突っ込みどころが多すぎて、何処からどう突っ込めば良いかわからない。
「初めてだよね?これにしておきな」
店員が指したのは右下の「桃源茶 薄 八百円」
八百円でも高い気がするが、今更店を出るのも嫌で頼んでみる。
「じゃあ、これで」
「サービスのケーキもあるけど……」
「……お願いします」
こんな時間にケーキか……
まぁ、小腹も空いているし、ケーキセットと思えば一般的な値段とも思えるし……
お茶に詳しい訳でもないから、桃源茶が珍しいかどうかもわからない。
店員は無駄に大きいドリンクサーバーを捻ってカップに注ぎ、どう見てもただのお湯を足して薄めている。
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