深夜3時のティータイム

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扉をすり抜けて猫顔の男が現れ、それに続いて女性も現れる。 バイト君がそれを一瞥すると、私に出したのと同じドリンクサーバーからカップに注ぎ、席にいる佐伯さんに出す。今回はもちろんお湯では薄めなかった。 「着いたから、一口飲んで」 バイト君の言葉に佐伯さんはゆっくりとカップを口に運び、グッと一口桃源茶を飲む。 カップがソーサーに戻されるのを待ってから、バイト君は新しく来た女性を佐伯さんの向かいの席に案内する。 「お、姉ちゃん……お姉ちゃん!本当に会えた!何で私を残して死んじゃったのよ!!」 佐伯さんは女性に抱きついて、泣き喚いた。 『死』 考えないようにしていたその言葉を突きつけられ、私の心臓が一瞬、ギュッと誰かに握られたように息苦しくなる。 佐伯さん達が席に着くと、彼女らの会話は聞き取れなくなった。 「気になる?残念だけど、テーブル席には互いが干渉しないように祈りがかけられているからね、座ると何話してるかわからないよ」 私の視線に対し、キツネ男が理解しがたい話を始める。 キツネ男に視線を向ければ、少し透けてるように見えた。
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