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寿命で何かを買えるという事より、この店では寿命一ヶ月と十万円が同価値である事が、何だかショックだった。
「コタロー、呑んでるかい?」
キツネ男との会話を遮るように、神様だという一人が絡んできた。
「呑んでますよ!ありがとうございやす!」
「呑め呑め!俺らの奢りだ!」
神様は気前良く叫び、持っていた銀製のヤカンからキツネ男のグラスに液体を注ぐ。
ほのかなピンク色の綺麗なお酒だ。
他の神獣達にも振る舞い、そして私の方にもやってきた。
「お前も呑め。店員よ、グラスだ」
バイト君は気まずそうにグラスを差し出す。
酒は弱くないが、明日も朝から仕事だ。
グラスを受取るのを躊躇うと、バイト君が小声で言った。
「神様からの酒だ。呑めば御利益があるが、機嫌を損ねれば厄が付くぞ」
神レベルのパワハラというわけだ。
そういう時代も経験してきたので、グラスを受取ると愛想よくお酒を注いでもらう。
「ありがとうございます。頂きます」
グラスをグッと傾け、ゴクゴクと流し込む。
桃源茶と同じ、爽やかな甘みとスッキリとした喉越し。水のようにサラリと呑める。
一気に呑み干してぷはっと息を吐き出すと、呑みっぷりを褒められて、おかわりが注がれて……
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