深夜3時のティータイム

9/17

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
寿命で何かを買えるという事より、この店では寿命一ヶ月と十万円が同価値である事が、何だかショックだった。 「コタロー、呑んでるかい?」 キツネ男との会話を遮るように、神様だという一人が絡んできた。 「呑んでますよ!ありがとうございやす!」 「呑め呑め!俺らの奢りだ!」 神様は気前良く叫び、持っていた銀製のヤカンからキツネ男のグラスに液体を注ぐ。 ほのかなピンク色の綺麗なお酒だ。 他の神獣達にも振る舞い、そして私の方にもやってきた。 「お前も呑め。店員よ、グラスだ」 バイト君は気まずそうにグラスを差し出す。 酒は弱くないが、明日も朝から仕事だ。 グラスを受取るのを躊躇うと、バイト君が小声で言った。 「神様からの酒だ。呑めば御利益があるが、機嫌を損ねれば厄が付くぞ」 神レベルのパワハラというわけだ。 そういう時代も経験してきたので、グラスを受取ると愛想よくお酒を注いでもらう。 「ありがとうございます。頂きます」 グラスをグッと傾け、ゴクゴクと流し込む。 桃源茶と同じ、爽やかな甘みとスッキリとした喉越し。水のようにサラリと呑める。 一気に呑み干してぷはっと息を吐き出すと、呑みっぷりを褒められて、おかわりが注がれて……
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加