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ある日、マナの家の呼び鈴が鳴りました。マナがドアを開けると、マナと同じ年ぐらいの、元気そうな青年が立っていました。
「こんにちは! 俺は大工のビルっていいます! 今日からお向かいに家を建てる工事をしますので、しばらくご迷惑おかけします」
と、ビルは元気よく説明しました。
「はい、わかりました」
他人と久しぶりに話したマナは、緊張しながら小さな声で答えました。
次の日、マナは体調があまりよくありませんでした。マナはベッドに入り、窓の外をぼんやり眺めていると、お向かいで数人の大工が家を建てる工事をしているのが見えました。昨日あいさつに来たビルは、ビスケット型のレンガを積む作業をしています。お家ってあんなふうにできるのね、とマナは感心しながら見ていました。
ふと、ビルがこっちを見たので、マナはビルと目が合いました。ビルはマナに向かってにっこり笑いました。ビルは、体が大きくて、顔も強面でしたが、悪い人ではないのだ、とマナは思いました。
お菓子の国が、午後2時になり、小さな鐘が鳴りました。
マナは台所に向かい、今日食べるパンケーキを作りました。マナは体が弱いので、いすに座りながら、握りこぶしぐらいの小さなパンケーキを作りました。
お菓子の妖精は、息をするのと同じようにお菓子を作ります。だから、体調が良くないときでもお菓子は作れるのです。
お菓子の妖精がお菓子を作らなくなったら、それは死んでしまうときです。
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