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にしてもCランクかぁ……警備としては妥当なとこだけど、万が一に備えてAランクやBランクの兵士を近くに据え置くのも大事だぜ?
ま、あの利口な王子サマなら今回の件で学んだだろうよ。
もしかしたら高ランクの兵士は根こそぎ愚王に持っていかれた可能性もあるけど。
良さげな依頼をいくつか見つけたのでそれをひっぺがし、冒険者の群がる掲示板前からするりと抜け出して受付に持っていこうとすると、どこからかどよめきが起こっているのに気付く。
有名人でも来たんかなーとチラ見すればなんとそこにはもう二度と会いたくないとさえ思った金髪碧眼の男が!目に毒にしかならない美丈夫が!
「ロイド王子だ!ロイド王子がいらっしゃったぞ!」
誰かが声を張り上げたことで掲示板を食い入るように見ていた冒険者達も受付嬢もギルド職員も、皆一斉に入り口に堂々と突っ立っているフォルス帝国第二王子サマに視線を向けた。
全員の視線が身体中に刺さる中、フォルス帝国の証である白いローブをひらりと風に躍らせて一歩前へ進み出たロイド・フォルス。
そしてふわりと柔らかな、それでいて王子の風格を醸し出す笑みを浮かべた。
「騒がせてごめんね。人を探しているんだ」
うおおおう目が!目がちかちかするぅ!!
その無駄に振り撒いてるキラキラが眼球に突き刺さるぜ……!
何故だ、他の冒険者が邪魔で半分くらいしか顔が見えない上に多少の距離があるというのに!!
そのキラキラオーラはあれか?武器の一種か?
効果は抜群だ畜生!!
ざわつく冒険者達をよそに一人片手で顔半分を覆って目への攻撃を阻止していると、ロイド・フォルスが寸分違わず私のもとへ歩いてきた。
顔覆ってるのになんで分かるんだって?
指の間からロイド・フォルスが進む先が拓けていくのが見えたからだよ!
あああ冒険者の波という壁が崩れていく……!
つーかなんで私の居場所分かった!?
まさかこの距離でも心の声キャッチしちゃうの!?
「そのまさかなんだよねぇ」
若干小馬鹿にするようにクスッと笑い、私の前で立ち止まるロイド・フォルス。
冷や汗をダラダラ垂らす私ににっこり微笑みかけた。
わぁなんて素敵なスマイル!
「ちょっと、お話しよっか?」
ただの旅人が一国の王子にご所望された。
しかも公衆の面前で。
くっ……!断りづらい!
肩をがっくり落とし、力なく頷いた。
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