04:旅人とギルドカード

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 依頼受注や依頼登録の窓口は混雑していたが、ギルドカード発行窓口は空いてたためすんなりと事務作業を終えられた。  何故かギルドの奥から出て来てからずっとあちこちから視線を感じるが、それは私ではなく私の隣にいる高貴なお方へと降り注いでいるに違いない。  実際、私を対応してる受付嬢も私の横にいるやつを見てぎょっとしてたし。だが流石は受付嬢と言うべきか、すぐに平静を取り戻して対応してくれたけど。  筆談で名前と能力を伝えると、受付嬢は怪訝な表情に。 「聞いたことのない能力ですね。どんな力なのでしょうか……いえ、すみません。水晶を使えば分かることですね。直ちにお持ちしますので少々お待ち下さい」  ランクを確定する水晶を持ってくるためにカウンターの奥へと引っ込んだ受付嬢の背中をぼんやり眺めていると、ひょいっと筆談用の紙を横から奪われた。 「俺も聞いたことないや。なんなの?この能力」  思わずはぁ、とため息が漏れる。  アンタどんだけ暇なんよ。私を追っ掛け回すよりやることあんだろ王子サマ。  せっかく人が頭の中でだけ存在を消したってのにこのキラキラ男……  じとぉっと睨めつければ、しゃららんっと効果音がつきそうな素敵な笑顔で反撃されてすっと視線を逸らす。負けた。  どんな能力って聞かれてもなぁ……  私自身もよく分かってないし。  とりあえず能力の名称はここからずーっと東にある小国からきてるもんだよ。  え、自分の能力すらちゃんと把握してないの?と目線で馬鹿にしてるキラキラ王子からナイスタイミングで戻ってきた受付嬢へと視線を移す。 「それではこちらの水晶に手を乗せて下さい。一瞬で終わりますからねー。楽ーにして下さいねー」  おいやめろ。その言い方だと人生終了のお知らせみたく感じるだろうが。  言い方はともかく、時間を無駄使いはしたくないので素直に言われた通りに利き手を水晶に乗せる。  するとほんの一瞬青白く光ったかと思えばうんともすんとも言わなくなり、本当に一瞬で終わったことを確認。  いやぁ、いつ見ても不思議なもんやね。  端から見たら一瞬光っただけなのにもう計測完了とか。  どこの国の水晶も優秀すぎるわー。  その内勝手に知能を取り入れて人類に大きく貢献してくれるんじゃね?  いやもしかしたら逆に人類の天敵になっちゃったりして。  そしたらラスボス級やん。人類破滅の危機、なんつってー。 「あ、あのー……もう終わったので手を退けても結構ですよ」 「まーたトリップしてるし。おーいエリー、戻ってきなさーい」  ロイド・フォルスが私の眼前で手をひらひらしたことで思考は一気に現実へと引き戻される。  すまんすまん、と心の中で軽い謝罪を告げて水晶から手を離す。  その瞬間、水晶の上にずらーっと剣術やら頭脳やら能力やらの測定結果が映し出された。空中に文字が浮かんでる状態だ。 「なっ……!?」 「え……?嘘…………」  それを見た受付嬢は驚愕の声を上げた。  出会ってからほぼずっとにこにこ笑顔を崩さないロイド・フォルスでさえ信じられないと言いたげにぽつりと溢して私と水晶の文字を交互に見ている。  水晶にはこのように記されていた。 ――――――――――――――――――― ――――――――――――――――――― 名前:エリー・ケラー 年齢:21 体力:S 武術:B 剣術:SS 盾術:F 頭脳:S 知識:S 精神強度:S 状態異常耐性:SS 能力精密度:測定不能 能力強度:測定不能 能力修練度:測定不能 能力使用法:様々な用途があり説明不可 総合結果:Xover ――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――
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