02:旅人と宴会

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 ――――――――――――――  がおーっと現れた熊の魔物をさくっと討伐した後、私は兵士とロイド王子に後処理丸投げでさっさか退散しようとした。  が、しかし。 「「「うおおおおおおお!!!」」」  一部始終を目撃した兵士達が何故か一斉に雄叫びを上げた。  びっ……くりしたぁ!いきなり何!?  困惑して後ずさった直後、身体を襲う浮遊感。  いつの間にやら兵士達に囲まれており、わっしょいわっしょいと胴上げされていた。  え、ちょ、なんなのあんたら!?  青い熊倒しただけでそんなテンション上がんの!?  お前ら兵士だろ!たかだか魔物一匹仕留めた程度でそんなお祭り騒ぎすんじゃねぇよ!! 「数人がかりでならBランクの魔物は討伐できる。だが一人で討伐できる人間はこの国じゃ兄上だけだ。そんなやつを討伐、しかも瞬殺したんだ。そりゃ興奮もするだろ」  ロイド・フォルスの説明でなんとなしに理解した。  したのだが、やはり違和感が拭えない。  この国の周辺は平原が広がっている。魔物が蔓延る平原が。  少なからず出入りしている者もいるはずだ。兵士なんて国境を警備したり周辺の魔物を狩ったり他国ともなんやかんやあるだろうからその筆頭だろう。  魔物を討伐するなんて日常茶飯事なごくごく当たり前のことをしただけでここまで興奮するのはちょっとおかしいんじゃね?  だってこの程度の魔物なんざその辺にごろごろいるぞ?  ランクなんてAもBもCも対して変わらんだろ。なんでこんなに馬鹿みたいに騒げるんだ?  残念ながら私の心の問い掛けにロイド・フォルスは答えてはくれなかった。  いや正確には奴が口を開くより先に兵士共に拉致られたのだ。  胴上げされながら運ばれるなんてまぁ新鮮。 「ロイド王子!こりゃ宴会しねぇとですぜ!」 「そうですよ!誰一人死傷者を出さなかったんですから!」 「ああ、好きにしろ」  おいロイド・フォルス!勝手に許可出すん じゃねぇ!!  あ、よく見たら肩震わせて片手で口覆ってる。  笑ってやがる……!こいつ性格悪いだろ絶対!  つーか魔物の後処理は!?まず先にやることやれや!!  私の心の叫びも虚しく、あれよあれよと言う間に連れていかれたのはご立派な造りの兵舎だった。  一切装飾類が見当たらないので王宮のようなきらびやかさは皆無だが、どこか荘厳な雰囲気を放つそこへえっさほいさと運ばれる私。  やがて皆が立ち止まり、ようやく降ろされた場所をじっくり観察してみればそこはどうやら兵士達の修練場らしい。  道中ジェスチャーで降ろしてくれと伝えたが通じなかった。  もう何度も何度もしつこいくらい伝えたのに全く通じてくれなかった。  ふっ、この国でジェスチャーは意思疎通法として論外だと分かった瞬間だったぜ……  かくなる上は筆談で……!と思ったときにはすでに兵舎の前で降ろされてしまったのだ。解せぬ。  尚、ここまでずっと胴上げ状態でしたが何か?
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