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03:旅人と平原
ちょっとだけびっくりしたように目を瞬かせたロイド王子は、すぐに面白そうに目を細めて微笑を浮かべた。
「……察しがいいな」
イエイエそれほどでもー。
しっかし驚いたなぁ。
まさか兵士達が雑魚中の雑魚魔物を1匹倒しただけでどんちゃん騒ぎするほどお祭り大好き人間だったなんて。
一人うんうんと勝手に納得している横で微笑を浮かべたまま表情が硬直したロイド王子。
「……は?雑魚?」
いやぁ、Sランク魔物を瞬殺して国全体がうぇ~い英雄様だぜヘーイ!ってテンションアゲアゲになったあのときを思い出すわぁ。
国の名前忘れたけど。
英雄は言い過ぎだろ英雄は。
小さい町ひとつ壊滅状態になったとこをたまたま通り掛かったついでに腕試ししただけなのにさぁ。
それまで見たことのない魔物だったからどの程度の強さなんだろーじゃあ試し斬りしてみっか!とかっるい気持ちで突撃したら、なんとまぁ弱いこと。
パワーで押せ押せ猪突猛進タイプだなありゃ。
猪の魔物だけに。
あんなのがSランクとかちゃんちゃら可笑しいわー。
同じSランクでももっとヤバイやつなんてゴロゴロいんのにねー。
あれはせいぜいBランクぐらいだろ。
あ、Bランクといったらさっき倒した熊の魔物もBランクだったな。
あれはもっと下のランクでも良いだろ絶対。
「本来、Bランク兵士が束になってようやく倒せる魔物なんだが……」
だって猪の魔物なら毛皮は防具にできるし肉はそこそこ旨いしで一石二鳥だけど、熊はなー……
毛皮剥いでもそんな役に立たないし、肉もクッソ硬くて食えたもんじゃねぇ。
食いモンとして見りゃEランクだぞ。
「……色々突っ込みたいところはあるが……まず、魔物って食べても問題ないのか?」
ロイド・フォルスの問いに耳を傾ける。
そしてその質問の意味が分からず首を傾げる。
それを見てロイド・フォルスは続けた。
「お前も知ってるだろう。かつてこの世界に隕石が降り注いだとき、人間は半数以上滅び、それ以外の動物がほぼ全てこの世から去った事実を」
そりゃ知らねぇやつなんていないだろうよ。
世界中の学校で歴史の教科書に刻まれてるくらいの大事件なんだから。
「今や野生動物は見つけるのも困難になり、動物園という娯楽施設の動物は野生動物同様隕石によって滅ぼされた。その代わりに魔物が大量発生するという異常事態……一昔前なら普通にそこら中で食されていた肉が今の時代では高級食材扱いだ」
ほぉーそれは知らなんだ。
狩った魔物の肉とそこらに生えてるそこそこ旨い野草使って自分で調理するのが日課だからかな。
町で買うのなんて自分じゃ作れない調味料とか香辛料ぐらいだしな……
野宿根性が染み付いたやつの成せる技、ってな。
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