優しい雨傘

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父さんは 「偶然、小春と帰りが一緒になっててな。ちょうど、この猫達を見かけたんだ。暁斗の傘が雨宿り代わりだったんだと思うけど。」 「まあ。」 と母さん。 流石に玄関先でということもあり、父さんと小春を家の中に入れ、猫達は一度、バスタオルに包んで、クッションの上で家族仲良く居座らせることになった。 キッチンのテーブルを囲み、家族会議をすることに。 「あの猫達は私が責任を持って、飼う。母さん、すまんが許してくれ。」 「お父さんが飼うと言うなら…。」 と渋々承諾する母さん。 「だけど、あの猫達は一体、誰が捨てたのかしら…。」 流石に段ボールに書かれた 『拾ってやれ』 は俺も気になっていた。 すると小春が 「たぶんだけど、あの猫達、うちのクラスの長峯(ながみね)さんじゃないかと思うんだよね。」 「あー…あの金持ちだかの。」 「そうそう。」 小春のクラスに金持ちだかなんだか知らないが、長峯というクラスメイトがいることは知っていた。 世間知らずというか、物知らずというか。 考えなしな行動が多い子であるのは小春から聞いていた。 「その長峯さんがまさか…。」 「そのまさかだと思うよ。“猫好き”って1週間前は言ってたクセに今週に入ってから“猫嫌い”に変わっててみんな呆れていたもの。」 「相変わらず、物知らずというかなんと言うか…。彼女の考えなしの行動だろうな。」 と呆れて言うと小春は 「ホントホント。それで学校全体に知られてるってこと、当の本人は気付いてないみたいだけどね。」 と深い溜め息を吐いた。
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