0人が本棚に入れています
本棚に追加
父さんは
「偶然、小春と帰りが一緒になっててな。ちょうど、この猫達を見かけたんだ。暁斗の傘が雨宿り代わりだったんだと思うけど。」
「まあ。」
と母さん。
流石に玄関先でということもあり、父さんと小春を家の中に入れ、猫達は一度、バスタオルに包んで、クッションの上で家族仲良く居座らせることになった。
キッチンのテーブルを囲み、家族会議をすることに。
「あの猫達は私が責任を持って、飼う。母さん、すまんが許してくれ。」
「お父さんが飼うと言うなら…。」
と渋々承諾する母さん。
「だけど、あの猫達は一体、誰が捨てたのかしら…。」
流石に段ボールに書かれた
『拾ってやれ』
は俺も気になっていた。
すると小春が
「たぶんだけど、あの猫達、うちのクラスの長峯さんじゃないかと思うんだよね。」
「あー…あの金持ちだかの。」
「そうそう。」
小春のクラスに金持ちだかなんだか知らないが、長峯というクラスメイトがいることは知っていた。
世間知らずというか、物知らずというか。
考えなしな行動が多い子であるのは小春から聞いていた。
「その長峯さんがまさか…。」
「そのまさかだと思うよ。“猫好き”って1週間前は言ってたクセに今週に入ってから“猫嫌い”に変わっててみんな呆れていたもの。」
「相変わらず、物知らずというかなんと言うか…。彼女の考えなしの行動だろうな。」
と呆れて言うと小春は
「ホントホント。それで学校全体に知られてるってこと、当の本人は気付いてないみたいだけどね。」
と深い溜め息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!