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翌日も雨だった。
「朝から雨か…。」
ポツリと呟く。
「そうねぇ。」
とミケの胸毛を撫でる母さん。
ミケはゴロゴロと喉を鳴らし、なんだか嬉しそうだ。
母さんも猫の撫で方にコツを掴んだようで、既にミケが母さんの撫で方を気に入っている。
朝食を食べ、学校へ行く準備をする。
玄関で靴を履き、自分の傘を探す。
「暁斗!!」
「母さん?」
母さんは俺の傘と一緒にあるものを俺に手渡す。
それは……
『ミケ達が入っていた段ボールの中に入っていた赤い御守り』
だった。
母さんは優しく微笑む。
「ミケちゃん達の御守り。貴方が大事に持っていなさい。」
「母さん…。」
「ふふっ。もしかしたら……ミケちゃん達のおかげで晴れるかもしれないわよ?」
俺もつい、釣られて笑ってしまった。
「確かにな。じゃあ、行ってきます!」
「いってらっしゃい!気をつけるのよ!」
そう言って家を後に学校へと向かう。
止まない雨の中、俺はそっとミケ達の御守りをカバンに付けて、登校した。
その優しい傘と一緒に。
[終わり]
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