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福福ちゃん、現る
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ちょうど、梅雨の入りたて。
どの服を着て外へ出たらいいのか迷う季節。
【近藤大輔】は、ある意味死んだ。
不慮の事故で頭を強く打ち、外傷目立たぬが、打ち所が悪かった。
三十路にもかかわらず独身だった大輔の死は医師から両親に告げられ、母親はベットに横たわる大輔を前に狼狽している。
童貞ではないにしろ、大輔は一人暮らし。彼女もいない。
いるとすれば、布団に付着したカビやダニくらいだ。
「いわゆる、植物状態です。このまま延命治療で生き続けることはできますが、目を開けるのは奇跡に近いです」
無慈悲に響く医師の声は淡々としていた。
雨振り始めの6月6日の出来事だった。
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