運命の人

flavor of life

ヒカルは男子高校生の写真を見た時、体が震えた。初めて見る人物なのに何度か会っているような既視感を覚えた。しかし、それと同時にやっぱり初めて見る顔だと記憶は反論している。どちらにしても何か感じるところがあった。ここに本人がいたら「どこかで会ったことありませんか？」なんて使い古されてネタにもならない口説き文句を思わず言ってしまいそうだった。
ヒカルは内容そのものよりも男子高校生のことが気になって、友達のつぶやきから、リンクを辿り、他の人がつぶやいている情報を流し読みしていった。
『三原博雅、T高等学校2年、意識不明の重体、母子家庭、帰宅部、彼女無し、童貞かどうかは諸説あり』
T高等学校はヒカルが通っているH学園の近くにある学校だった。もしかしたら近くですれ違っていたかもしれない。しかし、あまり記憶にない。
多くの人がこのニュースについて関心があるようでトレンドワード2位になっていた。右肩上がりの急上昇を見せる事件を抑えて1位の座に収まっている言葉はなんだろうとヒカルは思った。
ヒカルは気になって1位になっているワードを調べた。すると検索にヒットしたワードは2位と同じだった。しかし、2位と同じワードの後ろに『写真』と付いていた。