flavor of life

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気持ち悪いものを見たとヒカルは思った。けれども怖いもの見たさが勝った。ヒカルはもう一度その画像を見ようと思ってスマートフォンを手にとる。スマートフォンを持ち上げた時、彼氏からメッセージが返ってきた。 ヒカルはスマホの画面上部に現れた通知をタップした。その瞬間に画面はメッセージアプリに切り替わった。内容は「修学旅行、俺はやっぱり、京都がいいな」という日常的な簡単なものだった。ヒカルはそのメッセージの内容を無視して、ニュースについて彼氏に聞いてみた。すぐに返事が返ってくる。彼氏もこのニュースは知らなかったようで、もちろん三原博雅についても知らなかった。ヒカルは釈然としない気持ちのまま、また三原博雅の顔写真を見返した。 ヒカルは何か大事な物をなくしてしまっている感覚に襲われる。目をぎゅっとつぶり、必死になって記憶の糸を手繰り寄せても、手応えは何もなかった。
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