愛という名の祈りを込めて

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俺達の手の間の輝きが強くなる。なんだか妙に暖かくて、安心する。なんだろう、この感覚。 ルークがゆっくりと手を離してきた。俺達の掌の間には、小さな宝石みたいなモノが宙に浮いて輝いていた。 「タンザナイトの宝石」 爛々と輝いていたルークの目の光が落ちついてきた。俺達の間の発光も無くなってきた。カチャッと音を鳴らして重力を得た宝石がルークの手の中に落ちた。 「…ピアス?」 「そう。アキ、捨てちゃっただろ」 ルークは俺の左耳にそっと触れた。長年ピアスを付けていたせいで塞がらなくなった穴がそこにはある。ルークはその穴を親指でそっとなぞった。 「別にこれは俺の判断だから、気にしなくてもよかったのに」 「俺の存在がアキをそうさせた」 「…うん、まぁ…そうだけど。ありがとな。すげー嬉しいよ」 ピアスは勿論嬉しいけれど、まさか給料3ヶ月分だったりしないよな…?聞くつもりもないけれど、ルークの事だからやりかねない気がする。ルークの掌の上にあるタンザナイトのピアスは、月の光を吸って温かみのある青色に発色していた。 「つけてみてよ」 「うん」 ルークが俺の左耳にタンザナイトで出来たピアスを付けた。ずっと空きっぱなしだった所を塞がれる感覚に少し安心する。ピアスをつけ終えると、ルークが満足気に微笑んだ。 「凄く似合ってる」 「当たり前だろ。俺が付けてるんだから」 今まで高額なモノなら客の女の子から沢山貰っている。その中でもこれが一番嬉しいかも。俺はそっとピアスに触れてみた。鉱物なのにじんわりと温かい感触がする。 「さっきの光ってたやつはなんだったんだ?」 「原石のやつを探して買った。さっき俺が祈りを込めた」 「あ、じゃあ今さっき完成させたんだな」 可愛い事をするなぁ。これが俺の為なんて。どんな心境でこのピアスを手に取ったんだろうか。それを考えるだけで愛おしく思ってしまう。 「嬉しい。ありがとう」 「喜んでもらえて良かった」 ルークはそう言ってピアスを撫でながら、俺のこめかみにキスを落とした。
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