愛という名の祈りを込めて

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「良い声だな」 「もっと色気のある返事をしろよ」 「やだ。でももっと聞かせて」 「なんだよそれ。恥ずかしいだろ…」 ルークの濡れた艶のある声は疲れていても耳に馴染む。ルークに支配されている感じが堪らない。暫くこのままでもいいなぁ。そう思いながら俺は口角をあげた。 「俺を見て」 ルークはそう言って手をどかすと、俺の顔を両手で包み込んできた。優しくルークの目を合わせられる。俺は素直にルークの言葉に従った。 「なに笑ってんだよ」 さっきのルークのめいっぱいの口説き文句は、ルークにとってはかなりの赤面ものだったらしい。少し恥ずかしそうにしている。 「普段静かなルークが饒舌になるのが珍しくて。でもルークの声はずっと聞いてられる」 「それ本気で言ってるの」 「お前相手に嘘なんかつかねーよ」 「そう」 どちらかともなくキスをする。触れるだけのキスだけど、いつもより長めでルークの柔らかい唇の感触がよく分かる。俺達はお互いに唇の感覚を堪能してから距離を少しだけ離して微笑みあった。 「意地っ張り同士がくっつくともどかしいなぁ」 「俺は張ってない」 「今張り出しただろ」 きっと俺たちの相性は良いのかもしれない。ルークが大人びてるのか俺がガキっぽいのか。多分どっちもだ。きっとこれ以上には二度と出会えない。それなら俺だって必死にしがみついてやる。 「浮気すんなよ」 「アキと違って俺はしない」 「俺はもう出来ねぇっつの。もししたら、お前のそれ縦に裂くから」 「ちょん切るんじゃなくて?」 「縦のが絶対痛いだろ」 「変なの」 物騒な束縛セリフを受けている割にルークは余裕そうだ。自分で言っておいて股間がひゅんってする。 「安心して。血の契約は…」 ルークは言葉をとめた。これ以上は言うつもりが無いらしい。 元は恋人を守る為に作られたんだろ。本当は知っているけれど、知らないフリをしていよう。お互いの体内に流れている血が俺達を縛るなら、一生このままでもいい。離れた時に発狂するらしいのは怖いけれど。 俺はルークの頭をポンポンと撫でた。 「飲もっか」 「うん」
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