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エブリデイ、ノンホリデー
ギラギラと光るフロアの中、周りのホスト達が俺と肩に抱いた姫の為にシャンパンコールをしていた。
この優越感が堪らない。
俺は目を細めながら舌なめずりをした。
「姫、今日はありがとうね。今夜は俺が最高の夜にしてあげるよ」
自分に渡されたマイクに愛を紡ぐ。
嘘をつくのももう慣れた。この業界は色恋枕。いかに女の子を本気にさせるかが勝負だ。
嘘さえつき続ければキモチイイ事も出来てお金も稼げる。まさに天職だな。
しかしその優越感も、直ぐに冷や汗ものになった。
「姫から一言お願いします!」
先程までシャンパンコールをしていた後輩のホストが姫にマイクを手渡した。
姫はマイクを受け取ると、飛び切りの笑顔で口を開いた。何を言うんだろう。どうせ、好き。とかだろ。俺は微笑みながらそれを眺めていた。
「私の晶くん。ずーっとだいすきっ。今度私の家にご飯食べに来てくださいっ。晶くんが気に入ってくれた肉じゃが作って待ってまーす!」
おいおいおいおい、今日は他にも俺の姫が来てるのに勘弁してくれよ…。テンションただ下がりなんだけど。
マジで女って怖い。
俺は姫に見えないようにげぇっと口を開けた。
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