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Underwater flower
「では、お気を付けて」
「ありがとう」
俺達を乗せた荷馬車は森のとある所で止まった。道の端に神社とかで見るような赤い灯篭が置いてある。何かの目印かなにかだろうか。
ルークが荷馬車から降りたので俺も後に続いて降りた。
「マジで異世界だなぁ~」
「そうか」
少しだけ霧がかかっているのに何故か空気はジメジメしていない不思議な場所だ。
ルークと一緒に石の階段を降りてみると、湖畔っぽい所に着いた。
水は澄んでいて綺麗なのに底が見えない。本当に不思議な感覚だ。
「ルーク殿、お待ちしておりました」
「どうも」
声がした方を見ると、小舟に乗った和装のお兄さんが俺たちに向かって頭を下げている。
「…江戸時代?」
「エドって何だ」
「俺の生まれた国の昔の時代の名前」
「へぇ」
別に江戸時代に生まれた訳では無いけれど、なんだか懐かしい気持ちになる。なんだろう、これ。
「どうぞお乗りください」
ルークと一緒に小舟の方まで近付くと、お兄さんが手を差し出してきた。
その手を取って俺たちは小舟に乗って座った。
「では、参りましょう。水の都、蓮花(レンカ)へ」
お兄さんがキィっと櫓を動かした。
船が霧の中へ進む。
まるでアトラクションに乗ってるみたいだ。
ちょっとだけドキドキする。この先には何があるんだろう。
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