Underwater flower

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「凄いな、お前も人気者じゃん。ちゃんと仕事してるし」 「普段は気配を消してるから。帰りたい…」 「そうなの?便利だな~。お前の魔法」 榊に引き続きルークまで道行く人に会釈されている。昨日、蓮花に来たばかりの時は普通に誰にも会釈されてなかったのに。ルークはちゃんとその会釈に笑みを返している。若干顔が引き攣っているけれど。 「もう、背筋伸ばせよ」 すぐ猫背になろうとするルークの背中を俺はピシャッと叩いた。ルークは少し眉を寄せながら背中を伸ばした。 「クソ…」 「今口に出しちゃいけない奴だぞその言葉」 俺達が暮らしている街もそうだけど、ルークは顔が知られているから皆に見られている。 ていうか自分達の街もそうだけど、本当に俺はこの世界についての知識が皆無だ。完全にルークに依存している。あいつの自業自得だけど。 こいつの職場の立ち位置とか、どんな感じなんだろう。 無言でルークと道を歩いていると、後ろで話し声が聞こえた。 「まさか榊さんやコルネリウスさんの上司が晴乞いするだなんて、二度と見られないかもしれない」 「当日は例年に比べても大賑わいになるぞ。ルーク殿が晴乞いするって昨日発表されてから、宿の予約はどこも満了してしまったらしい」 大人気じゃん!俺達の街だと飲んだくれとか言われてるのに!皆にこいつのプライベートを見せてやりたい。 「隣にいるのは愛玩ドールかな。男性の形をしているけれど、凄く綺麗~」 思わず振り返って人間だわ!って返しそうになった。 でも俺は大人だからな、知らんヤツにキレるとかそんな事しないからな… 「アキは人間。俺の大切な人だから間違えないで。お願い」 モヤっていたらルークが普通に振り返って訂正していた。 「行こ、アキ」 「あ、あぁ。お兄さん達、ゴメンな」 ルークは俺の左手に指を絡ませて前を歩き始めた。その背中が少しだけ頼もしく見える。 本当になんだよこいつ…心臓が煩い。
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