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隠されたモノ
「今日はどこに行くんだ?」
「本当は雨乞いを見て宝石の街に行く予定だった。でも見られないから山に行く。ほぼ散歩道だけど」
「山か~お前のせいで歩くのは得意になったから大丈夫だぜ」
「嫌味」
「うっせ」
暫く歩くと山の麓に辿り着いた。参道は川沿いになっているらしく、水の音がする。木が影になっていて太陽も直接当たらないし、清涼感抜群だ。
「山頂にちょっとした催事場がある。前まで使われていたヤツ」
「今は使われてないのって交通の便が関係してそうだな。普通の人達は移動の魔法とか使えなさそうだし」
「御明答」
この狭い道を何かある度に行き来するのは大変そうだ。人間って基本的に何にしても便利な方を好むもんな。
「さ、行こう」
ルークは俺の手を握ったまま歩き始めた。
自然と解く機会を見失ってしまった。もうこのままでもいいかな、俺はやっとルークの手を握り返した。
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