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僕らの世界から来た女の子ならピアノを弾ける人間もいるかもしれない。しかし、イターノが求めているのは"プロのピアニスト"だ。もし、お眼鏡にかなうような人材なら、召喚されたときにアビリティとして発現しているだろう。
『心当たりは、いません。
伯爵が、求めているのは、楽譜通りに、演奏できる、レベルでは、ないでしょう』
イターノとランスは表情を変えた。
「待ってくれ! 心当たりがあるのか!?」
『ええ、まあ…』
「それは誰だ!?」
ランスは迫るように聞いてきた。ここまで必死だとさすがに身を引いてしまう。
『僕です』
そう答えると、ランスは信じられない様子で僕をじっと眺めた。
気持ちはわかる。こんなスラムに転がっていそうなネグセ少年に、ピアノが弾けるとは到底思えないだろう。
姿勢を正し直すとイターノ隊長は言った。
「ぜひ君の演奏を聞きたい…とりあえず、私の家に来てくれないか?」
こうして、僕はイターノ隊長の邸宅に行くことになった。
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