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茅ヶ崎が、俺が伝えた通りに、店長と話しをしている。
体調が悪いので、レジを代わって欲しい。そう店長に話すように、と言ってあるのだ。茅ヶ崎が、レジから離れて、お客からは見えないところに、入っていった。
さあこれで、準備は全て整った――。
後は、ある人物が入店してくるのを待つのみ。今から数分で、やつはくる。そう、常連客の金髪ドブネズミ・ゴリラ男・栗山が高宮高校の彼女と一緒に来るのを待つのみだ。
俺がハンバーガーを食べ終わると、大きな口を開けて笑いながら、栗山が女子生徒と入って来た。紫がかった髪の毛が肩まで伸びているのが特長で、ピアスも目立っている。目はきりっと切れ長でパキッとしたメイクも、パンツの見えそうな短いスカートもギャルっぽい。
苦手なタイプだ。
まあ俺は、ピチピチした女子高生が苦手なのだが……。
しかし、今はピチピチした女子高生になっている俺が本当は一番不運なんじゃないかと思う……。
栗山は、二人分のハンバーガー代を支払うと、いつものように、彼女の手を握りながら席につき、ハンバーガーを「あーん」とお互いに食べ合いっこし始めた。
動物園のおりの中でやってくれ!
茅ヶ崎は栗山との恋を別れたがっていたが、栗山は拒否し続けている。しかし、栗山にとっては、茅ヶ崎がただの遊び相手でしかないのは、明白だ。
別に俺は正義の味方でもなんでもないが、茅ヶ崎と入れ替わっている今となっては、茅ヶ崎が言ったように、これは、俺の問題だ。それなら、俺が解決するしかないだろう。
いざ・勝負!
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