17. JKと線香花火

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 日が沈むと、茅ヶ崎は、鞄から花火を取り出した。 「神楽君、帰るにはまだはやいと思うの。私、花火を持ってきているのよ。神楽君も私と一緒に花火をしたいと思ってくれていると嬉しいのだけれど」  茅ヶ崎の鞄から、花火の束が出て来た。 「線香花火ばっか……」 「私、儚く散る線香花火が好きなの。無理にとは言わないけど、一緒に線香花火をしたいと思って持ってきたの。もし神楽君が、線香花火、嫌いだったら強引にお誘いはしないのだけれども。線香花火をするのを、付き合ってくれると嬉しいと思っているわ。どうかしら? 恋人同士で、線香花火というのは、なかなか風情があって美しいと思うの」 「すぐに散るってところが、寂しい気もするが、俺も線香花火は綺麗だと思うよ。初デートですぐに散るって言葉を発すのが気も引けるがな……」  ――あっ。と口を開いたまま固まってしまった茅ヶ崎の体を、揺すった。  お〜い!  浜辺に座り込んだまま、動かない。
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