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白良浜で茅ヶ崎が誰かに見られている。そう話していた。
あの時は、まさか! そんな風に思った。
しかし、犯人を見つけてしまった瞬間だ。
ものすごい嫉妬心を持った者……、それは――――
「みーーーーーーおーーーーーーーりーーーーーーー!!!」
「お、お姉様〜、ど、どうなさいましたでしょうか?」
二階からドタバタと転がり落ちてきた。
激しい剣幕と手に持つ一番レフに気がつくいて、美織の頬が引きつっている。
「おおおお姉様ー! 私はお姉様の初デートが心配だっただけのことですわ。お姉様の写真をコレクションするのが好きだとか、それを一日中眺めているのが好きとか、お姉様のビキニ姿にキュンキュンするだとか、そういったやましい気持ちは、一切、断じてありませんのでございます!」
「はあぁぁぁあぁぁぁあ! このド・変態!」
苦し紛れに、本性を白状しているではないかっ!
美織を捕まえると、お仕置きで、一度やってみたかったことをやってみます。
「お尻、ぺんぺんじゃー!」
「ひえぇ〜。お姉様ぁ〜。ごめんなさいぃ〜。どうか写真を消すのだけは、おやめください〜! もう、二度としません〜!」
――この時、俺はこの時間が永遠に続くと信じて疑いもしなかった。
平和で姉妹愛に溢れたこの瞬間を、愛おしいと感じていたのだ――。
一方で、茅ヶ崎雪菜として、学校に行く時が、今まさに刻々と迫っていたのだった。
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