26. メイド

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「伝えていなかったかしら? 私は生徒会から頼まれて、時々いじめを事前に撲滅させる活動をしているのよ。本当に時々よ。別に刑事ごっこって訳じゃないのだけれども、それでも真剣に学内からいじめがなくなればいいと思っている。それは、偽善なんて思う人がいるかもしれないけれど、学校は教育を受けるところであって、誰かがいじめを受けて悲しい思いをするところじゃないと思っているの。もし、誰かが悲しい目に合っていたら、同じように私も悲しい気持ちになるのよ。だから、学校は平和で、いじめのない環境でなくちゃいけないと思ってるの」  ベラベラと喋っているのを、どうして止めようとしないのか? それは、喋っている茅ヶ崎を見ていると、表情が明るくなっているからだ。  多分、集中することで何かを取り戻しているのだろう。 「神楽君には、突然のことで訳が分からないかもしれないけれど。それが私なのよ。今回は、南野凛さんが、もしかしたら悲しい思いをしてるんじゃないかって、生徒指導の先生から調査を頼まれていたの。で、リンさんに、ついて、愛瑠から少し情報を貰ってたってわけ。活動事態は大袈裟なものではなくて、今学期に入ってから数回しか活動していないものよ。神楽君を巻き込みたくはないのだけれど、今回は入れ替わってしまっているのだから、仕方ないわね。リンさんのことは、手伝ってもらうことになると思うの」  多少驚いたが、茅ヶ崎が取り組みそうな内容ではある。それに、――先ほどのリンの行動が読めてきた。 「学内で、茅ヶ崎がそういう活動をしているのを知ってる生徒は多いのか?」 「そうね。なるべく広まらないようにはしているのだけれど、噂で知っている人もいると思うわ」
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