120人が本棚に入れています
本棚に追加
/556ページ
渡り廊下を渡って、西館に入っていく。
取っ組み合いをしている者から、動画を撮って遊んでいる者までさまざまだ。
「俺達二年生とは、随分と雰囲気が違うようだな」
「まだまだ中学生気分が抜けないのよ。一年生らしくて可愛いわ。そろそろ三組が見えてきたわ。リンさんがいたら、呼び出して話をゆっくりと聞いてみたいの。それから、パソコンを開いている男の子がいたらその子は、遠藤君よ。多分すぐに分かると思うのだけど。まずは教室に入らないで、廊下を通り過ぎるだけにしましょ」
「あぁ。分かった」
一瞬、教室に目を向けて、ただ通り過ぎる。
スマホを触っている生徒や、黒板に落書きをしている生徒が見える。
遠藤は? リンは? どこだ……。
一年三組を通り過ぎて、そのまま突き当たりの階段までくると、足を止めた。
「どちらもいなかったわね。遠藤君は大抵の場合パソコンを見ているという、愛瑠からの情報だったのだけれども……。リンさんもいなかったようだし。可笑しいわね……」
茅ヶ崎が、不穏な空気を漂わせた。
最初のコメントを投稿しよう!