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「ふーん、先輩はその別れた『白黒コンビ』の互いのふりをして手紙を出したのが気になってる、ってことですかね?」
後輩が八木の話を整理し、言った。八木は、こういうことにはホントに頭が働くなぁと感心しつつ、仕事してほしいとも思った。
「まぁ、そうだな。それでそろそろ返事を書いてくると思ってさ」
と、ひそかに八木は期待していたのだ。
「でもそんな偽装工作してよかったんすか?」
と、後輩はもっともなことを言った。確かに、八木が、ただ2人の仲を戻したいだけであれば、手紙をだすことはしないだろう。
しかし、そうせざるを得なかった原因が八木にはあった。
八木は白黒コンビとは時々遊ぶ仲だった。それは付き合い出してからも遊ぶほどだった。
八木は白黒コンビを見ているのが好きだった。ただそれだけで良かったのだ
しかし、ふとした際に遊ぶ中で、色についての話題となり、八木の色は何色かという話に進み、そこで喧嘩が起きた。
八木の色は決まらなかったのだ。お互いがお互いの八木の色を主張し、どちらも譲らなかった。
そしてその話題はエスカレートし、ついにお互いの色を批判するようになったのだ。
そして、別れた。
この話題を八木がしなければずっと付き合っていたのかもしれないと思うと八木は申し訳なくなり、なんとかよりを戻せないか話しても会う気はない。と言われたのだ。
だから八木はお互いになりすまし手紙を書いた。
よりが戻るようにと。
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