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その後の私の行動は、怒りに任せていた。
私は彼からの手紙を読まずに、何かしら奇声を上げながら破く。
ひたすらに。
文字の1文字すら見えないほどに。
手紙を細かくした後で、我に返ればもう遅い。
彼からの最後かもしれない手紙はもう読めない。
別れの言葉だったのだろうか。
仲直りの言葉だったのだろうか。
それとも何ともない、ただの日常の報告だったのだろうか。
私はどうしてこうも感情に流されやすいのだろう。
イライラとした感情は、破く力によって消し去り、今は冷静に何をやってるのだろうか、と思うばかりである。
どのような想いでこの手紙を書いたのか分からないけれど、彼の事だから、きっと返信を待つのだろう。
いつまでも。
返ってくることを信じているから。
はぁ。と溜め息をついた後、私は黒い紙を取り出し、一言を黒いペンで添える。
紙とペンの色は同じ黒でもペンの方が濃いため、誰でも読めるようになっている。
私はそれをまた黒い封筒に入れ、郵便ポストへ向かう準備をする。
正直、彼からの返事はどうなるのか分からない。
それでも私はけじめを付けるべきだ。
この想いを乗りきるために ── 。
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