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──***──
「はぁ…。」
僕は溜め息をつく。その溜め息は深く、僕の白い部屋を暗くする事ができるような、そんな溜め息だった。
「はぁ…。」
また、溜め息をつく。僕はベッドの上で、朝起きてからずっと膝を抱えてうずくまっていた。
(溜め息つくなんて、あんたらしくないじゃない。どうしたの?)
と、彼女だったら言うのだろう。
しかし、その彼女はもういない。
僕なんかと比べものにならないくらい格好よくて、誰よりも強かった。
そして、彼女は「黒」が似合う。
僕とは正反対。
僕には彼女を守る力がなかった。
僕には彼女を引きつける魅力がなかった。
だから僕は少しでも彼女に近づこうと努力した。
彼女のように黒くしてみた。
しかしそれは見かけだけ。
ただ黒いように見えるだけの僕だった。
皆から笑いものにされた。
馬鹿にされた。
でも、彼女は違った。
「あんたにはあんたの『色』があるんだから、それを大事にしなさいよ」
「うん、やっぱりあんたは『白』が似合う」
「私も白が似合えば良かったのになぁ」
僕の頭から彼女の笑顔が次々と浮かんでくる。
忘れられない。
忘れたくない。
でも、別れてしまった。
彼女はこんな思いしないだろうなと思うと僕はますます自分が惨めになってくる。
これからどうしたらいいんだろう ─ 。
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