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そう悩んでいると、玄関の方からことん、と聞き慣れた音がした。
「手紙か…」
僕はベッドの上で、うずくまったまま、そう呟いた。
これが彼女からの手紙だったら良いのに、と思ったが、その思いはすぐに消えた。
なぜなら彼女は手紙が嫌いだからだ。
なぜ嫌いなのかは聞いたことがないが、彼女の事だから、直接話すほうがいい、なんて言うのだろう。
まさに彼女らしい。と思い、ふっと笑みをこぼすも、すぐさま溜め息を今にもつきそうな顔に戻る。
「とりあえず、手紙をとろう」
大事な手紙かもしれない。そう思いながら玄関前へ向かった。
そして、その手紙を手に取る。
手紙は、僕の白い部屋には全く似合うことの封筒だった。
「黒い…手紙」
それは彼女を連想するには簡単なものだった。
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