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だけど、彼女が手紙を書くなんてことがあるだろうか?
彼女だとしたら、直接話すことを好むだろうし、今までの彼女らしくない。
でも、この手紙の色を、黒を使うのは彼女しかいないはず。
一体、どういうことなんだろうか?
僕は封を切らずにそのまま考えた。
彼女がこの手紙を送ってきた意味を。
まず、考えられるのは、いや、最悪な考えとして、
「私が嫌いな手紙を書くくらいあなたが嫌い」
というメッセージだろうか。と考えた。
もしそうだとしたら納得できる。しかし、僕の気持ちはこの黒より暗く沈むだろう。
実際に少し沈んでいるのを感じている。
僕は最悪な考えをやめ、他に考えられることはないかと彼女の性格や、彼女との生活を思い返す。
(そうだ、思い出した)
僕が彼女に手紙を書いてもいいか質問したことがある。
そしたら彼女は
「手紙なんて逃げの一手よ。そんなことするくらいなら直接言いなさいよ」
と言ったのだ。
それが彼女が手紙を書かない理由だ。
それを聞いた僕は確か、彼女に素直な気持ちを伝えたんだ。
君には黒が似合うこと。
そんな君に惹かれたこと。
君が大好きだということ。
(これを聞いた君は黒ではなく、真っ赤になっていたっけ…)
僕はふっと笑みがこぼれた。
そして僕はその手紙を自分の手で何度も引き裂いた。
紙のちぎれる音が何度もする。
やがて、自分の手ではちぎれないくらいに細かくなった。
そして僕は白い便箋をとりだし、さすがに白いペンでは、文字が見えないため、仕方なく白に近いグレーのペンで一言を添えた。
彼女に会おう。
そのための一手。
大事な彼女ともう一度
もう一度、この想いを伝えるために。
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