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わたしはハッとして、空を見上げた。次から次へと雨が落ちてきた。
マアア!祝福の雨ですわね!そう言ってメイク係の女は、わたしを本殿の屋根の下まで引っ張っていった。
わたしはどす黒い空を見上げた。そこにはわたしの心よりもずっとくらい、陰気な空が広がっていた。あの日神社で嗅いだ匂いと同じ、雨と土の匂いがした。
わたしは鳥居の方をもう一度見た。男の姿は消えていた。ピンクの雨傘がぽつねんと、広げられたまま置かれてあった。
さっきまであんなに晴れてたのにねえ。女が気だるそうにつぶやいた。しばらく止みそうにないわねえ。困りましたわねえ…
ええ。あと1時間は降り続くと思いますよ。満面の笑顔で言うわたしを、そこにいる皆が怪訝そうに見つめた。
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