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10.赤鬼
「大丈夫……?」
草むらを覗き込む。
草むらからは、何だか尖っているものが出ていた。
何を思ったか、その尖ったものに、手を触れてしまった。
すると、一瞬のことだった。
「きゃあっ!」
「ぐあっはっは……!」
草むらから出てきたのは、大きな赤鬼。
若菜を片手で抱き上げると、豪快に笑った。
「人間は相変わらず騙しやすいなあ!」
「嫌っ!」
バタバタと手足を動かしていたが、赤鬼のもう片方の手に握られた金棒が目には入ると、大人しくなってしまった。
「味は不味いが、人間の肉で我慢しようじゃないか。木霊を探すためだしなあ!」
誰かに聞かせるように、話し続ける赤鬼。
若菜は、驚いたように赤鬼の顔を見上げた。
「こだ、ま……?」
「……お前、木霊を知ってるのか。」
しまった、と口を抑える。
赤鬼は、ニヤリと口角を上げた。
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