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11.恐怖の尋問
「木霊は何処にいる。」
「知りましぇんってばあ!」
暗い洞窟の中。
二人の声だけが響き渡った。
あの後、若菜は簡単にアジトに連れ去られ、現在尋問中。
「知りません」という言葉を何度言ったことか。
既に口が回らなくなっていた。
「教えたら、お前のことは食わない。だが、まだ「知らない」などと言うなら、お前に用はない。容赦なく腹の足しにさせてもらう。」
そんなことを言われても、木霊とは喧嘩をして、別れたばかりだった。
「っ……。」
小さな体で鬼の前から逃げられるわけもなく、ただただ黙るだけ。
何の解決にもなっていないことは、若菜でも分かっていた。
「沈黙は、「知らない」と捉えるが?」
「待っ……。」
服の襟を掴む赤い手。
もう食われる、と覚悟を決めたその時。
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