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12.小さな英雄
「僕ならここにいる。その手を離せ。」
「へ……?」
「木霊……?」
そこには、見たこともないような怒りに満ちた顔をした木霊の姿が。
「おお。木霊、帰るぞ。」
「何言ってるんだよ。お前が、捨てたんだろ!」
赤鬼は、木霊の実の父親だった。
しかし、それ以上に衝撃の事実を、若菜は聞かされることになる。
「捨てたのは小雪だ。俺じゃない。」
「お母さん……?」
甲高い女の人の声が、木霊の脳裏を過った。
靄が掛かっていた顔も見えてきて。
それは、あの優しかった母親の顔だった。
「嘘だ……。そんなの嘘だ!」
小さな頬に流れた涙は、ひらひらと地面へ散った。
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