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14.若菜の存在
「駄目だよっ……!」
そんな話を黙って聞いていた若菜は、耐えきれず木霊を抱き締めた。
「お前には、関係ないことだ……。」
「でも、でもっ……!」
上手く言葉が出てこなかった。
しかし、木霊は全てを分かりきったように、若菜の頭を撫でた。
「父親にしかメリットがない。そう言いたいんだろ?」
若菜は、こくこくと必死に頷いた。
「そんなの、分かってる。分かってるけどっ……。」
母親を助けたいという思いが、自分を犠牲にすることをためらわなくしていた。
「私には、何も出来ないんだよね……。木霊を、止めることも……。」
若菜は、自分の無力さに唇を噛んだ。
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