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2.小さな鬼の子
それから、森の中をさ迷い続けて三十分。
流石に疲れて、大樹の側に腰掛けようとすると、「ふぎゃっ」という男の子の声が聞こえた。
「……?」
もう一度座ろうとする。
「うぅっ。」
声が聞こえたのは、お尻の下だった。
「ええっ、捨て猫さんっ?」
若菜は他人より少しお馬鹿だ。
お尻の下を覗き混むと、何だかゴソゴソと動いている段ボール箱。
「こーんにっちは!」
勢い良く、段ボール箱を開いた。
するとそこには、若菜に踏まれたせいか、眠りながらウンウン唸っている鬼の子がいた。
「鬼……!?」
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