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3.出会い
すると、若菜の大きな声に驚いたのか、ゆっくりと目を開いた。
「う……。」
「ねえ、どうしたの?」
若菜が恐る恐る声を掛けると、小鬼はビクッと震えて、若菜を見つめた。
髪は銀色のマッシュ。
その間から覗く二つの鋭い角。
片方を眼帯で覆われた、紅色の瞳。
どこからどう見ても、この世にいるはずのない、鬼の子だった。
「誰……?」
けれど、若菜は湧き上がる好奇心に勝てず、怖がる小鬼を抱き上げた。
それほど変わらない背丈だけど、若菜の方が年上のようだ。
「私は、森下若菜! 君は?」
「僕は……、木霊。」
木霊と名乗った少年は、迷惑そうに若菜を睨み付けた。
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