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7.親の存在
「あ、お母さんかお父さんは? きっと強い鬼何でしょ?」
「僕、捨てられてるよね、今。」
若菜は、「そうだった」と頭を掻いた。
「きっと、僕が邪魔だったんだ。だから、呪いなんて掛けて、僕を森の中に……!」
木霊は悔しそうに俯いた。
「でも、何で直ぐ捨てなかったの? 5歳まで育てたんだよね?」
「きっと、せめてもの情けだ。一人で生きていける程の知能を叩き込んで、五歳になったら呪いを掛けて捨てる。」
それでも、若菜は何か引っ掛かっているようだった。
「僕、親の記憶がそんなに無いんだ。家も、名前も分からない。帰って来られないように、記憶操作をしたんだ。」
「鬼って、思ったより優しい……?」
話を聞いた限りでは、それなりに酷いことはしているけど、絵本で見た鬼よりは全然優しいと思ってしまった若菜。
だが、そのまま口に出してしまったのがいけなかった。
「は……?」
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