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プロローグ
誰かの声が聞こえた。
「お前は呪われた子だ。」
それは、甲高い女の人の声。
何だか懐かしくなった鬼の子は、無性に触れたくなって、必死に手を伸ばした。
「あれ、どこ行くの……?」
近くにあったその声は、段々遠退いていって、終いには聞こえなくなった。
代わりに聞こえたのは、その声よりもっと甲高い、女の子の声だった。
「ねえ、どうしたの?」
「誰……?」
優しく、抱えあげられる鬼の子。
間近にある少女の表情は、何とも優しいものだった。
「私は、森下若菜! 君は?」
「僕は……、木霊。」
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