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いつもの日常
「ここ間違えてるぞ。今日中にやり直せ。」
「はい。すいませんでした。」
突っ返された書類を受け取りうなだれた様に自分のデスクに戻る一人の女。
名前は小峰飛鳥。年は35歳。
上司にちょくちょく怒られるのはこれが初めてではない。
「はぁ……」
「飛鳥?大丈夫?」
「大丈夫だったらこんな顔してないと思いますけど?」
思い切りふてくされた顔を見せる。
「ちょっと!その顔やめて!」
笑いを一生懸命こらえているのは小林佐織。
飛鳥とは同期で善き理解者だ。
「とりあえず、お昼行こうか?休憩だし。」
会社から出ると歩いて5分程の場所に行きつけの洋食屋があった。
いつもの席に座るといつもの日替わりランチを注文する。
「辞めちゃおうかな………」
「また始まった。本気で考えてないから言えるんじゃない?」
「考えてるよ!でもさ……」
「冒険出来る年じゃないのわかってるでしょ?もし辞めても今みたいに正社員で働ける会社なんてそうそうないんだから。」
「わかってますって。でもさ、部長、なんであんなに厳しいのかな。私だけ。」
運ばれて来た日替わりランチのオムライスを口いっぱい頬張る。
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